クラフトヴィレッジの想い

丹波篠山に、
手仕事と想いを根付かせる

何年か前のこと。
丹波篠山で工芸作家として活動するわたしに、地元のうどん屋の大将が
『近くに木工作家が引越して来たから、会ってやってーな』と 1人の作家を紹介してくれました。
今、その作家と一緒に展覧会の計画をしています。
ここ丹波篠山は、移住してきた工芸作家が多い土地。この風土の魅力に惹かれて移り住んだ者たちは、不思議と同じ空気感を纏っているように感じます。そんな丹波篠山で、モノづくりに携わる作家同士が交流し、お互いの作品や想いを見たり聞いたりし、そして刺激を受け、アイデアを共有できたら、何か新しいものが生まれてくる予感がします。
そこで思ったのが、良い距離感で心地よい関係を保てるような、作家と作家を繋ぐ場所をつくること。それがクラフトヴィレッジという構想に辿り着きました。
そしてもうひとつ。工芸作家が集まる丹波篠山だからこそ、地元の人たちにも私たちの「モノづくり」への想いを知ってもらえたら、と考えています。わたしたち工芸作家が作っているものは、暮らしの中で使われ、 毎日をちょっとだけ豊かにするモノだと思います。ネットショップや日本各地のお店に並び、遠く離れた人に使ってもらえるのも嬉しいですが、「モノ」が生まれた地元の方に使ってもらえるのも、つくり手として嬉しいことです。「つくり手とつかい手」がお互いの顔を知っているというのは、「モノ」への愛着が深まる幸せなことでもあります。
また、子どもたち、工芸作品にあまり関心のなかった人たち、繋がりのなかった分野にも、手仕事に触れてもらう機会を増やし、 興味も持ってもらうことで、つかい手の裾野も広がると考えています。地道な活動で時間がかかることでもありますが、少しずつ、みなさんと一緒に進めて行きたいと思っています。 「手仕事と想いが根付いた里」を目指して。
丹波篠山クラフトヴィレッジ製作委員会
加古勝己